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■2009年1月29日発行

繰戻し還付


【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
繰戻し還付とは、前年度に利益を計上して法人税が発生したものの、今年度に経営状態の悪化などにより損失を計上した場合に、前年度に納付した法人税の還付を受けることができる制度である。

 

繰戻し還付制度は、民事再生法の適用など一定の場合を除いて適用が停止されていたが、平成21年度税制改正により、中小企業については一定の要件のもとで認められることとなった。

 

http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_4489.html

 

【昨今の状況】

平成21年1月23日に「平成21年度税制改正の要綱」が閣議決定されました。今後国会の審議を経て、関係する法律が成立した後に、それら税制改正が実施されることとなります(したがって、以下の議論は現時点では検討中のものということになります)。

 

昨今の経済環境の急速な悪化を受けて政府が実施する経済対策としては、定額給付金などの実施の可否が新聞紙上などを賑わしていますが、税制面においても、景気の悪化をふまえたうえでの改正項目が検討されており、なかには中小企業を特に支援する施策も設けられています。とりわけ、中小企業の欠損金の繰戻し還付制度の復活は、その資金繰りに良い影響を及ぼす可能性があるため、大きく注目されています。ここで、「復活」とされているのは、法人税法には繰戻し還付制度の規定がすでにあるものの、平成4年4月1日から制度の適用自体が停止されているためです。

 

今回一部で「復活」する欠損金の繰戻し還付制度の内容は、上記のキーワード解説のとおりですが、例えば、前年度(平成20年3月期)に500万円の黒字が発生し、110万円の法人税を納付した場合、今年度(平成21年3月期)に赤字が発生すると、今年度の赤字に見合う前年度分の税金(原則的には、500万円以上の赤字であれば前年度に納付した110万円の全額)の還付を受けることができる、という制度です(参考:経済産業省「平成21年度税制改正」)。
すでに、年度相互間での損益通算の制度として、欠損金の翌年度以降への繰越規定(通常7年)が設けられているものの、この繰越しの制度は翌年度以降に利益が発生することが前提となります。しかしながら、繰戻し還付は、納税が発生した翌年度に赤字になった場合には、実際に前年度に支払った税金の還付を受けることができるため、資金繰りには非常に有効であると考えられるのです。
いいかえれば、欠損金の「繰越し」制度は、次年度以降の(発生するかは分からない)利益と通算するものであるのに対し、「繰戻し」制度は、過去の(実際に発生して納税も行った)利益と通算し還付を受けるものということになります。

 

繰戻し還付制度の適用対象となる中小企業は、資本金が1億円以下の企業などです。また、適用対象となる事業年度は、平成21年2月1日以後に終了する事業年度とすることが予定されており、今3月期(平成21年3月期)からの適用も可能となります。

 

なお、繰戻し還付制度については、すでに(税制改正前の現行制度上も)以下の場合には適用を受けることが可能となっています(中小企業以外の会社についても可)。具体的には、1)解散、2)事業の全部の譲渡、3)会社更生法の規定による更生手続の開始、4)事業の全部の相当期間の休止又は重要部分の譲渡で、これらの事実が生じたことにより繰越欠損金の繰越しの適用を受けることが困難になると認められる場合、5)民事再生法の規定による再生手続開始の決定、といった場合です。とりわけ、昨今は資金繰りの悪化などの理由から、黒字倒産してしまい民事再生法などを適用する企業も多い中で(参考: http://www.exbuzzwords.com/column/MM081009.html )、このような繰戻し還付の制度には、企業再生に資する一定の有効性があるものと推察されます。

 

さて、そのような状況にあって、経済環境の急速な悪化に直面している中小企業に関与している金融機関の担当者や税理士などの専門家は、会社の資金繰りなどの悪化を防ぐために、必要に応じて、このような種々の制度を有効に活用できるよう助言を行いたいものです。したがって、これらの制度の理解は当然のこととして、(企業からの役割期待にも左右されることではありますが)その守備範囲をやや広げて、税務申告の状況や資金繰りの状況など、経営の全般についても適切に把握しておくことが必要と考えられます。

 

 

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