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■2008年6月5日発行
民事再生法
【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
民事再生法とは、従来の和議手続(和議法)に代わる再建型の倒産処理手続で、2000年4月に施行された。
民事再生法は、破産状態に至る前に実行可能なこと、再建計画が認められるまでの期間が短縮されたことなどが特徴。
会社更生法と異なり、経理上は民事再生法適用前の状態を継続しつつ再生が行われる。また、経営者についても、会社更生法とは異なり、既存の経営者がそのまま経営を行うことが多い。
民事再生法が適用されても、長期にわたる担保処分の禁止などの債権者を縛る強制力が弱いため、民事再生法を適用するにあたっては、債権者の協力が必要となるとされる。
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_1041.html
【昨今の状況】
「<船場吉兆が廃業 再建断念、社長が発表>
食品偽装表示や料理の使い回しが問題になった大阪市の高級料亭船場吉兆(民事再生手続き中)の湯木佐知子社長(71)は28日、大阪市内で記者会見し、廃業すると発表した。昨年秋から不祥事が相次ぎ、料亭部門だけで営業を再開し再建を目指していたが、今月上旬、食べ残しを別の客に使い回していたことが発覚して客離れが加速。吉兆グループ各社などの支援も取り付けることができなかった。一連の問題は昨年10月下旬、福岡市の店舗で菓子などの消費・賞味期限を偽って販売していたことが発覚して表面化。本店の商品や料理でも牛肉の産地などを偽装していたことが次々と明らかになった。
2008/05/28 【共同通信】 」
去年から今年にかけて、食品偽装などの問題がニュースやワイドショーで大きく取り上げられてきましたが、とりわけ大きな話題となっていた高級料亭の船場吉兆が、ついに廃業することになったと、このニュースは伝えています。
ワイドショー的な要素はさておき、ひとつ疑問に思うこととして、経営破綻・倒産などとして報道された会社でも、そのまま存続する会社もあれば、廃業する会社もある、という点があるのではないでしょうか。
この船場吉兆の場合、最初の不祥事の後は存続を選択したのにもかかわらず、料理の使い回しが発覚した後は廃業を選んでおり、同じ会社でも時点によって、その後の結果が異なるということがあるようです。それでは、今日のメルマガでは、会社の倒産とその後の手続について、考えてみることにしたいと思います。
まず最初に、「倒産」とは何でしょうか。一般的には、財産がなくなること、事業がはたんすること、などと説明されますが、いわゆる「倒産法」といわれる法律(会社更生法、民事再生法、破産法など)には、倒産の定義はありません。
そこで、考え方を変えて、倒産状態に至った会社にその後どのような手続が適用されるか、という観点から分類してみたいと思います。
その意味では、倒産後の会社に対する手続には、「再建型」と「清算型」の2種類の手続があるといえます(最近はこのような分類では説明が難しいような処理もありますが、ここでは割愛します。)
「再建型」は、その名のとおりの手続で、倒産者の資産を残し、これを利用して事業を継続しながら負債を弁済していき、事業の立て直しを目指す手続です。
一方、「清算型」は、これもその名のとおり、倒産者の資産をすべて換価処分し、債権者に分配して事業を廃止することを目指す手続です。
なお、もう一つ、別の観点からの区分として、法律の手続によるもので(程度の差はありますが)裁判所が関与する手続を「法的整理」、それ以外を「私的整理」と呼ぶ場合があります。これらの二つの区分を用いると、「再建型」の「法的整理」手続として、会社更生法と民事再生法があり、「清算型」の「法的整理」手続として、破産法に基づく破産がある、などということができます。
そして、船場吉兆の例では、当初は民事再生法による「再建型」手続を目指していたものの、途中から、「清算型」の手続に移行したと考えることができます。
それでは、「再建型」か「清算型」かの判断の分かれ目はどこなのでしょうか。
それは、倒産が支払不能(またはそのおそれ)によって引き起こされるという点から考えることができます。
支払不能によって影響(不利益)を受けるのが、債権者であることを考えれば、倒産後の手続においては、債権者にとって最も弁済額が大きくなることを目指すべきといえます。そして、ここでいう債権者には、金融機関だけでなく、商品の納入業者などすべての債権者が含まれます。当然、場合によっては、零細企業や個人企業なども含まれるかもしれません。
そうすると、どちらが債権者への弁済原資を確保できるか、という点で、「再建型」による事業の存続か、「清算型」による廃業かが判断されることになるわけです。
民事再生法の考え方の言葉を借りれば、債権者は、自身が賛否を決める再生計画案(「再建型」)について、再生計画案による弁済が破産(「清算型」)の場合の清算配当を上回るかどうかによって判断を行う、ということになるわけです。(ちなみに、この原則を清算価値保障原則といいます)
以下は推測になりますが、船場吉兆での例では、このような考え方が背景にあったのかもしれません。
つまり、料理の使い回しが問題となる前は、仮に破産を選んだとしても、保有する資産の売却換金価値が乏しく(料亭にとって、原材料の価値は日がたつにつれて著しく低下し、店舗設備の価値は、専門的仕様にしているため居抜きでの売却や新家主の現況賃借は難しく、むしろ原状回復費用が多くかかると想定される)、それよりも、傷ついたとはいえ未だ残る「のれん」をもとに事業を行い、それをもって債権者に弁済していったほうが、債権者にとって有利となると判断して「再建型」の民事再生法を選択した。しかし、その後、料理の使い回しが発覚し、常連さんからのキャンセルも相次ぎ「のれん」の価値が落ちてしまったため、事業を継続しても債権者への弁済能力が保たれないことになり、廃業(「清算型」)を選択せざるを得なかった、と考えることができるのかもしれません。
なお、ここでは多く触れられませんでしたが、従業員に対する給料などは、このような倒産手続のうえでは優先して支払を受けることになっています。しかし、弁済原資がなければこれも十分に払えない、という意味では、やはり倒産後の利害関係者の適正な判断が求められるといえます。
今後、経営破綻・倒産といったニュースに接する際は、前面に出てくる会社のオーナー・社長だけでなく、お金を貸したり、商品を納入していた業者(債権者)の視点にたってみることで、違った見方ができるようになるかもしれません。
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