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■2008年5月15日発行

ネーミングライツ

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
ネーミングライツとは、いわゆる命名権のこと。
スタジアムなどに企業名を付す権利を売買するようなケースがある。

 

http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_3160.html

 

【昨今の状況】

近年、日本においても企業名を付したスタジアムなどの施設が増え、施設名の名前を聞いて当初は何となく感じていた違和感も感じるということも少なくなってきました。

 

米国においては、1980年代あたりからNBAやMLBなどのプロスポーツチームの本拠地施設に企業名を付す事例が見られ、それ以降ネーミングライツビジネスは、企業にとってはブランド戦略の一手法、施設の保有者にとっては、施設の収益性向上のための一手法として急速に広まりました。現在では、米国の4大プロスポーツ(NBA、MLB、NFL、NFL)の本拠地には半数以上の割合で企業名が付されています。

業種は、銀行、保険会社、運送会社、航空会社、メーカーなど多岐にわたりますが、比較的財務基盤のしっかりした大企業が多いように感じます。

 

日本においては、米国と比べるとネーミングライツの歴史は浅く、2003年に公営施設であった東京スタジアムが「味の素スタジアム」に、グリーンスタジアム神戸が「Yahoo!BBスタジアム」になるなど2000年代になってから広がりを見せてきました。

もっとも、現在に至って、プロ野球に限ってみれば企業名を冠している球場は、楽天イーグルス本拠地(クリネックススタジアム宮城)ソフトバンクホークス本拠地(福岡Yahoo!JAPANドーム)、オリックス・バファローズ本拠地(京セラドーム大阪)の三球場に、それもパシフィックリーグの本拠地にとどまっています。

 

ネーミングライツが米国で普及したのも、企業側が一定の広告効果があることを認め、また施設のオーナーは収益力向上に寄与することを認めたからに他ならないのですが、一方で施設側には一定のリスクが存在するのも確かです。というのも、名前を冠している企業が不祥事を起こしたり、倒産するなどした場合、名前を変更を余儀なくされるだけでなく、施設のイメージダウンを引き起こす可能性があるからです。

 

例えば、楽天イーグルスの本拠地は、当初「フルキャストスタジアム宮城」という名称でしたが、冠企業のフルキャストが違法派遣の問題を起こしたため、契約解除に至り、次に契約した日本製紙も契約後に古紙配合率の偽装問題が発覚し、当初予定していた「日本製紙クリネックススタジアム宮城」を「クリネックススタジアム宮城」に変更を余儀なくされるという事態に至っています。

西武ライオンズの本拠地も、グッドウィルの不祥事により、同社との契約解除後は、ネーミングライツ自体をやめてしまい、「西武ドーム」に名称変更してしまいました。

こういった事例が増えてくると、施設側もネーミングライツ導入時においては、契約料の多寡というよりは、コンプライアンス重視の姿勢に走り、安定的で慎重な企業風土を有する企業と契約する傾向になってくることが想定されます。

 

米国で大企業名が付されている施設が多いのも、施設側が上記のリスクを勘案してなのかも知れませんが、もう一方で契約期間が米国においては長いことも影響しているかもしれません。

日本においては3年-5年程度の契約期間なのに対して、米国では20年以上の契約が一般的です。従って、多額の契約料を長期に支払っていくことが可能な企業となると、ある程度財務基盤がしっかりした企業に限られてきます。

契約期間が長いのは、プロスポーツというエンターテイメントがある意味市民の生活一部になっており、各チームは極めて地域色の強いものとなっていることと関係していると思われます。すなわち、地域のチーム本拠地の名前は可能な限り同じ名前で地域に浸透してもらわないと困るということなのでしょう。もっとも、米国の場合、企業の合併買収が頻繁に生じるため、施設名も契約先のM&Aにより、名称変更を余儀なくされるということはよく見られます。

 

日本におけるネーミングライツの歴史は始まったばかりであり、今後米国のような長期契約を前提としたネーミングライツ契約が増加してくるのか、あるいは日本独自の形態が進化していくのか、もうしばらく時間を置いて見てみる必要があるでしょう。

 

 

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