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■2008年4月2日発行
滞納処分
【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
滞納処分とは、国税、地方税等の税金が一定の納付期限までに納付されず、かつ督促等により納付を催告しても納付されない場合、徴収権者たる行政が、強制的に滞納者の財産を差し押えたり、差押財産を換価し滞納された税金に充当したりすることなどをいう。滞納処分は、国税徴収法、地方税等に定められており、徴収権者が必要と判断すれば、裁判所の許可なく実行できるものであり、強制徴収とも呼ばれる。
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_4158.html
【昨今の状況】
先日、米系の投資ファンドが140億円という巨額の申告漏れを東京国税庁から指摘されていたにもかかわらず、納税には全く応じておらず、現在まで1円も徴収できていないという報道があり、多くの人を驚かせました。以下、その記事の抜粋です。
「<米系ファンド、140億円申告漏れ 国税局指摘も応じず> 米国の大手投資会社「ローンスター」傘下の投資ファンドが、破綻(はたん)した東京相和銀行(現・東京スター銀行)の不良債権の回収事業で得た所得を申告していなかったとして、約140億円の申告漏れを東京国税局に指摘されていたことが分かった。追徴税額は無申告加算税を含め約50億円と見られる。ただ、ファンド側は納税に応じてない模様で、これまで国税局は1円も徴収できていないという。関係者によると、課税されたのはタックスヘイブン(租税回避地)の英領バミューダ諸島を拠点とする投資ファンド。投資家から集めた資金をもとに、いったんアイルランドの法人に出資した上で、同銀行の不良債権の回収事業に投資していた。アイルランドは日本と租税条約を結んでおり、税制の優遇措置を受けられる場合がある。国税局は、このアイルランドの会社には実体がなく、租税条約の乱用に当たるなどと認定した模様だ。(中略)ファンド側は国税局側の督促に一切応じていない模様で、拠点が海外にあることから強制徴収もできないため、現時点でまったく納税されていないという。」(2008年03月31日 asahi.com)
我々一般の納税者からすると、巨額の申告漏れの金額もさることならがら、ファンドが国税局から督促を受けながら一切応じておらず、今後も納税する意思が見られないのは、何か釈然としない感じがしますが、ファンド側の強気の姿勢の背景には、国税庁の強制徴収権が海外には及ばないということにあると推察できます。
一般的に、納税者が税金を払う必要がないと判断し、申告を行わず税金も納付しなかったが、税務当局側が申告漏れと判断した場合、まずは「税金を納付してください」という催告が納税者のところにきます。それでも納付しなかった場合は、預金や不動産といった財産が徴収職員によって差し押さえられることになります。税務当局が納税者から恐れられているのは、まさにこの権限があるからといえます。
もっとも、解釈の相違等により課税処分や滞納処分に納得がいかない場合は、不服申立等により税務当局と争う権利が納税者には与えられているのですが、本件の場合は課税処分について解釈の相違が存在するものの、課税されたファンド側に争う気配は全くなく、日本の税務当局が何らかの特殊な手段を講じない限りは、何も動かず終わってしまいそうな感じがします。そもそもファンド側は1円も徴収されておらず、経済的には何ら損失を被っていないわけですし、日本国内に財産を有していない限り、差し押さえの心配もないという事情を考えると、とりあえずは何もしないで放置しておこうということだと思われます。
実は、この投資ファンドについてはお隣の韓国においても同様の税務問題を起こしております。やはり、上記のケースと同様、租税条約を活用し韓国内の投資事業で得た利益について、韓国では殆ど税金を支払わなかったというものです。これについて、韓国政府はファンドの韓国拠点に脱税、外貨密搬入などの容疑で検察が家宅捜査に入るなど全面的な対決姿勢を打ち出しました。国民感情的には溜飲を下げたことにはなったかもしれませんが、海外の投資家からは外資を狙い打ちした不当な捜査と受け止められ、韓国への投資リスクが高まったとして、韓国からの投資引き揚げの動きが加速してしまうというマイナスの影響を生み出すことになりました。直接的にローンスター問題がどれだけの影響を及ぼしたかは正確には計測できませんが、事件後の外国人の韓国への証券投資資金の流出額は、1992年の株式市場開放以来、最も大きくなった模様です。
日本のケースにおいても、当局が今後どのような動きを見せるか分かりませんが、韓国の例を見る限り、そう単純に解決が図られる問題でもなく、今後の動きを注視したいところです。
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