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■2007年11月8日発行

労働債権

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
労働債権とは、会社が倒産・解散する際に残っている未払いの賃金や退職金、賞与といった労働者が本来得るべき金銭のこと。
担保付債権に劣後するため、優先順位が低いと言われることがある。

http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_674.html

 

 

【昨今の状況】

会社更生法の適用申請をした英会話学校のNOVAの再建の行方が注目されてましたが、6日、学習塾などを経営するジー・エデュケーション(以下、ジー社)という名古屋の会社に事業を売却することが決まったとの発表がありました。
その主な内容は、現在ある669教室のうち、30校のみをまずは引継ぎ、将来的には200校体制を目標とする、NOVAの商標の継続使用は今後の検討課題とする、受講生の前払い授業料は承継しないが従業員の支援については最大限努力する、従業員の雇用は最大限の配慮をする、などというものでした。

 

この発表内容だけでは、未定の部分も多く、最終的にどのような条件になるか不透明なところも多いのですが、破産管財人によれば、受講生の取り扱いや従業員の雇用に関してこの企業の提示条件が最も良かったということですから、他の候補企業の提示条件は含みをもたせないような具体的かつ厳しい内容であったかもしれません。

 

結局、このスキームによればジー社はNOVAの事業の一部を譲受けるだけで、NOVA本体の再建を担うスポンサーになるわけではありません。
従って、期待されていたNOVAの再建の可能性はほぼ消滅し、大幅な債務超過状態にあるNOVA本体は、最終的には破産手続に移行することが予想されます。

 

ところで、ジー社は前払受講料は継承しないとのことですが、労基署からも問題視されている給与の遅配を含む未払給与などの労働債権も承継されないことが想定されます。
一般的に事業譲渡スキームにおいては、従来の雇用関係は譲渡時に一旦リセットされてから、従業員は引受先にて再雇用されるという形をとるため、労働債権は譲渡側にて精算されることになります。
従って、譲受会社が「雇用確保に配慮」するといっても、あくまでも現在から将来にかけての雇用に配慮することを意味するだけで、過去の雇用関係に起因する部分についてまで面倒を見るということではないはずです。となると、NOVA本体にて労働債権が弁済される可能性がどれだけあるかということになりますが、こちらもかなり厳しい状況であることが想定されます。

 

破産手続に入ると、処分可能な資産を処分して、債権者への分配に充当することになります。但し、金融機関に担保として提供されている不動産などの資産は、破産手続とは別に処分され、担保付債権の回収に回ってしまいます。
担保付債権を除いて、まず優先的に弁済されるのは、財団債権と呼ばれるもので、税金などの租税債権、社会保険料、破産手続に必要な費用、そして労働債権の一部が含まれます。
平成16年の破産法の改正前は、労働債権は、財団債権に含まれていなかったため、税金や社会保険料などの弁済後は何も残らず、従業員は職を失った上に、給与まで支払われないという悲惨なケースが少なくありませんでした。こういった状況を救済するために、労働債権のうち、「破産手続開始前3ヶ月間の給料および破産手続の終了前に退職した退職金債権のうち退職前3ヶ月分の給与に相当する額」については財団債権に格上げして扱うことが、新破産法において定められました。
格上げと言っても、他の財団債権とは同列に扱われるので、原資が少なければそれだけ弁済に回る額が比例的に少なくなります。NOVAの場合、従業員の数も多く、未払給与の金額も多額であるため、弁済は相当に厳しいことが想定されます。

 

いずれにせよこの問題を含め、NOVAの破綻は様々な問題が複雑に絡み合っており、今後の行方も目が離せないところです。


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