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■2007年6月6日発行

退職所得

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜
退職所得とは、所得税の所得の分類の1つで、退職手当、一時恩給などの所得のことを言う。

http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_614.html

【昨今の状況】

退職所得、いわゆる退職金に対する所得税は、下記の計算式によって算出されます。

{(退職手当等の収入金額−退職所得控除*)×1/2}×所得税の税率−控除額
※退職所得控除は、勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数、勤続年数が20年以上の場合は、70万円×(勤続年数−20年)+800万円という算式で求められます。

例えば、勤続30年で退職金が2000万円の場合、退職所得控除は、70万円×(30年−20年)+800万円=1500万円となり、(2000万円−1500万円)×1/2=250万円が課税対象となる所得金額となります。
つまり、額面2000万円の退職金は、退職所得控除と1/2課税のおかげで、250万円に対して課税されるだけということになります。
退職所得は、いわゆる分離課税で、他の給与所得と合算されることなく単独で所得税が計算されるため、この場合の税率は、わずかに10%(控除額は9万7千5百円)に過ぎません(ちなみに、2000万円の所得の場合、税率は40%で控除額は279万6千円)。

上記の例を見れば分かるように、退職金の課税関係は給与所得などに比べると有利なものとなっています。
これは、退職金が一時に支給されるものであり、老後の生活保障的な所得としての性格が強いことなどを考慮した結果であるといわれています。
しかしながら、年俸制の導入や一時金ではなく年金による退職金の支払といった報酬形態の多様化、転職の一般化などによる終身雇用制の終焉といった現状においては、上述の退職金税制の優遇化の背景は薄れつつあります。

一方で、このような背景とは全く無縁ともいえる外資系の証券会社の一部が、退職金の税メリットを享受するよう報酬形態を採用しているのは皮肉としか言いようがありません。こういった企業においては、本来は給与として支払うべきものの一部を退職金扱いとして減額して、これをプールしておき、退職時にこれを一括して支払う形にしていることがあると言われています。

政府税制調査会(政府税調)は、2005年5月の報告書中に退職金の優遇税制を見直し、課税強化の方向で検討することを明記しましたが、そのきっかけとなったのはこれら外資系企業の報酬形態であるとも言われています。
この動きを受けて、外資系証券会社には、従来支店扱いだった日本拠点を株式会社化して、社員を一旦退職させて退職金を支払った上で、再雇用するなどして対応するところもあったほどです。

もっとも、実際には、2007年度の税制改正にも退職金の課税強化は盛り込まれておらず、課税強化がいつされるのか、あるいはそもそもされないのか分からない状況です。
背景には当時の政府税調のトップが交代したということもあるとは思われますが、外資のいいとこ取りは排除すべきという単純な議論だけでは済む問題ではないからだと推察されます。というのも、勤続年数が既に数十年経過した人にとっては、実質的には過去に遡って税率が上昇するのと同じ影響があるわけですし、終身雇用がまだまだ一般的で、退職所得が大きな比重を占める公務員、さらには民間企業や特殊法人に再就職して退職金を複数回にわたり得ることができる高級官僚に対しても、非常に大きな影響があるといえるからです。

もっとも上述したようにそもそもの背景が薄れつつあるのも事実で、今後どのような方向で退職金課税が見直されていくのかは引き続き注視していく必要ありそうです。


 

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