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■2007年3月21日発行

厚生年金分割制度

厚生年金分割制度とは、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合において、離婚等をした当事者間の合意や裁判手続により按分割合を定めたときに、一方からの請求によって婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割することができる制度である。(事実上の婚姻関係も対象になるが、被保険者として認定されていた期間に限る)

按分割合を定めるためには、当事者は分割の対象となる期間(婚姻期間等)やその期間における当事者それぞれの保険料納付記録の額の総額(対象期間標準報酬総額)、按分割合の範囲等の情報を正確に把握する必要があり、平成18年10月以後は当事者の双方又は一方からの請求により、離婚時の厚生年金の分割の請求を行うために必要な情報を社会保険庁から入手可能となっている。

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【昨今の状況】

近年、女性の自立が進むにつれ、特に団塊の世代といわれる中高齢者等の離婚件数が増加しています。いわゆる熟年離婚としてテレビドラマ化されるなどで注目されていますが、厚生労働省の人口動態統計の年間推計によると、ここ数年は減少傾向にあるようです。
景気が悪いときは先行き不安などから離婚率が高くなり、逆に良いときは離婚率が下がるといわれることもあり、昨今の離婚件数が減少に転じた背景には日本経済の好景気が影響しているともいえますが、来月、平成19年4月以後実施される離婚時の厚生年金分割制度と、平成20年4月から実施される第3号被保険者期間に係る厚生年金の分割の影響が大きいのではないか、との見方もあるようです。

従来、特に中高年齢者が離婚をした時、夫がサラリーマンであった場合は厚生年金に加入しているため老齢厚生年金を受取ることが出来ますが、夫名義の老齢厚生年金は夫にしか支給されないため、専業主婦として家庭を支えてきた妻は国民年金しか受取ることが出来ない場合が多く、自身の厚生年金を受給できるとしても対応期間や低賃金等の理由から受給額が非常に少ないという現状がありました。
現役時代の男女の雇用格差・給与格差などから離婚後の夫婦双方の年金受給額に大きな差が生じ問題視されていましたが、このような事情をうけて、平成16年の年金制度改正により婚姻期間にかかる厚生年金を離婚時に夫婦間で分割できる制度が導入されることとなりました。

基本的な仕組みとして、分割ができるのは2007年4月1日の施行日以降に成立した離婚についてですが、施行日前の婚姻期間に係る厚生年金も分割の対象とすることができます。
分割の按分割合(夫婦双方の対象期間標準報酬総額の合計に対する、分割を受ける側の持分を表したもの)は基本的には当事者間の合意に基づきますが、双方の合意がまとまらない場合には、一方の求めによる裁判手続により按分割合を定めることができます。
按分割合の上限は50%とし、分割を受けた側は自身の受給資格要件に応じて増加分の厚生年金を受給することになります。分割を受けても自身が老齢に達するまでは老齢厚生年金は支給されませんが、分割を行った元配偶者が死亡しても年金受給には影響を受けないことになっています。

このように、分割制度の施行後の離婚に対する年金受給額の扱いが分割を受ける側にとって幾分優位になることから、それを待っているかのように制度実施以降の離婚件数が急増するのではないかと専門家の間で予想されているようです。

しかし、現状は本来と異なって過大に優位に働く制度のように解釈されている場合が少なくないようです。
例えば、来月から実施される分割制度は、婚姻期間中の国民年金第2号被保険者期間の標準報酬記録が対象とされていて、つまり、サラリーマンの報酬比例部分及び厚生年金保険と、公務員・私立学校教職員等の共済年金のみが対象となります。従って、自営業者の場合は分割可能な原資がないため今回の制度の対象となりません。
また、夫から妻への分割といった例で解説されている場合が多いものの、共稼ぎ等で妻の賃金が高い場合には、妻が夫へ分割しなければならないというケースもあり得ます。

実際のところ、この制度の実施を待って離婚しようと狙っている人がどの程度いるのか分かりませんが、いざ離婚することになった時に見込みと違って後悔することのないように、分割する側も受ける側も正しく認識しておくことが重要なのかもしれません。


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