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■2006年9月13日発行
移転価格税制
【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜 移転価格とは、ある企業が海外に子会社関連会社を有する場合、それらの企業との間で取引を行う際の価格のことを言う。
この価格の設定次第では、課税所得の源泉となる利益がどちらか一方に移転してしまい、国際的な課税の不平等が生じてしまう可能性がある。
移転価格税制とは、移転価格が不公正であった場合に、それが外部の独立した第三者との間の取引であったならば適用されたであろう価格(独立企業間価格)に置きなおして利益及び課税所得を再計算し、実際の課税額との差額を納税させる制度。
移転価格税制の適用に際しては、当該会社に租税回避の意図があったか否かは考慮されないとされている。
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_589.html
【昨今の状況】 9月13日、欧州製薬大手のグラクソスミスクラインが、日本の国税庁にあたる米内国歳入庁(IRS)から同社のグループ内取引が移転価格税制に抵触するとの指摘を受け、三十一億ドル(約3600億円)という巨額の追徴税額を納めることになったとの報道がありました。
日本においても、今年に入り、武田薬品、ソニー、マツダ、三井物産、三菱商事といった名だたる国際的な企業が国税庁から移転価格税制による申告漏れを指摘され、数十億円から数百億円の単位にのぼる追徴税もしくは更正処分が課されましたが、各社とも課税処分を不服として、異議を申し立てを行なうとのことです。いずれのケースも税務当局は、海外の関連会社との取引に関して、日本国内への利益配分が少なく、所得を国外に移したと認定したようです。
移転価格税制による課税金額は、金額・件数ともに増大する傾向にあり、また、追徴税額が570億円という巨額のものになった武田薬品のケースのように1件当りの規模も非常に大きくなっています。これは、企業活動のグローバル化が進んだこともことに加え、国内外のグループ会社間の取引について指摘を受けた場合、同様の取引全体に適用が及び、結果として金額が大きくなってしまうこと、時効が6年間と通常の更正の時効より長いことが要因として考えられますが、一方で税務当局が、税収の確保を図る上で摘発に力を入れている表れとも推察されます。冒頭でグラクソスミスクラインの例を挙げましたが、この流れは日本に限ったことではなく、移転価格税制に基づく摘発は世界的にも増加しているようです。
ただ、税務当局による摘発が増加する一方で、不服の増加も増加し、企業と税務当局との争いも増えています。というのも、所得の分配について、どこまでが適正であるかについて、明確な基準があるわけではないため、企業にとっては恣意的に利益配分を操作するつもりがなくても、税務当局の裁量で認定されてしまう可能性が相当あるからです。また、実際に税務訴訟まで持ち込まれたケースもほとんどないため、判例が存在せず、司法ルールが明確になっていないことも企業側のスタンスを難しいものにしています。
また、企業と当局との争いが増えると、日本と海外の税務当局同士の争いも増えることになります。企業から異議申し立てを受けると、国税庁は、海外の税務当局と協議に入ります。というのも、日本の当局が過大と判断した海外の所得分については、企業は海外で納税しているため、日本で追徴になれば二重課税となり、日本の当局は海外の税務当局に対し、過払い分の還付について交渉する必要が出てくるからです。そういった意味で、この局面になると国家間の税務当局の争いという様相が強くなります。こちらについても国家間で必ずしも明確なコンセンサスが存在するわけではなく、結局交渉が決裂するケースも珍しくありません。
税務当局の姿勢を見る限り、今後も同様の指摘を受けるグローバル企業は増加しそうな情勢です。税務当局の裁量の余地が大きいにも係らず、指摘された場合、巨額の追徴を覚悟しなければならないこの税制は、グローバル企業にとっては、相当のリスク要因になっているもの予想されます。
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